下り坂の雲 | 二枚舌の狼が800匹

下り坂の雲

色々な事があり、もう何もかも嫌になったので
「ミシマ先生万歳」と叫びながら
サムライの儀式的行動をしてやろうと思い立ちました。

さてそれでは先人たちが作り上げた様式美にのっとらねば。
本を探す。
新渡戸稲造『武士道』。
見つからない。
アングロサクソンにジャパニーズサムライを理解させた
偉大な名著が見つからない。
ついでに
『坂の上の雲(文庫版)』の八巻も見つからない。

なぜかと思い、考えてみると
M君に貸したのだった。
いつになったら返してくれるのだろう。
ひょっとしたら黄色くて本がオフな場所に
売り飛ばされているかもしれない。
そして味覚的においしく彼の血肉になっているかもしれない。

そこまで想像した僕は
その武士道精神に反した行為に全身の血液が逆流する。
おのれK.M。
借りを返さず、仇を返すか。
聖林の動画かぶれめ、ついでにラジオ頭かぶれめ。
トムを通じて武士道に興味を持つとは何事だ。
クルーズかヨークか知らんが
その精神を叩きなおしてくれる。
偏見と歪んだ発想が合わされば
そこに生まれる被害妄想。
叫ぶやいなや、豊川稲荷神社御神木刀をにぎりしめ
K.M邸へと進軍する。
道行く人が奇異の目で僕を見るものの、
僕は生まれながらのマイノリティ、
そんな事でひるみはしない。
皇国の興廃はこの一戦にあり。
Z旗を頭上にかかげ、
出て来いK.M、俺も味覚的においしくさせろ、
と叫びながらK.M邸にT字戦法で攻撃開始。
T字戦法とは、なんとなくTの字型にドアを叩く行為である。
鬼謀神算の戦術であり、
アドミラル・トーゴーの名の元にもちろん智謀は湧くが如し。
近代要塞から出てこないK.Mに業を煮やすが
雲のように立ち昇る司馬史観と乃木希典的なカリスマ性で
ひたすら突撃を繰り返す。
突撃突撃突撃。
こちらの一方的な猛攻であり
兵員(一人)はいっさい傷つかない。
しかし出てくる気配がないK.Mなので
心はどんどん傷ついていく。

完全にこちらの勝利ではありますが、
とりあえず臥薪嘗胆で戦略的な撤退を行いました。