ネジタイプ | 二枚舌の狼が800匹

ネジタイプ

色々な事があり、もう何もかも嫌になったので
何もかも嫌になろうと思いましたが
なんとか何もかも嫌になりました。

土日は大学生活の華である学園祭でしたが、
ひねくれ者の僕は
「モラトリアムどもめ」
と暗い目でつぶやきながら、
映画「ねじ式」に感動して過ごしました。

このようなありさまに共感してしまう人は、
どうか考え直してください。

そういうわけで学際の話題はいっさいありません。
見た夢の話でも書いておきます。




右腕の手首に奇妙な腫れ物が出来たので、
僕はその中身を外へ出したくなった。
左手の親指と人差し指で腫れ物をつかみ、
こするように押し出そうとすると、
腫れがきれいに裂ける。
裂け目から
どろどろした
黄色い液体が次々と出はじめ、
それは膿んでいるようであり、
僕の右腕はすでに
腐っていたらしい。

黄色いものが溢れ続ける。
僕は半分怖がりながら、
ひたすらそれを
押し出した。
しだいに僕の
右手首は
からっぽ
になっていく。
皮だけになった手首は
傷口からのぞくと空洞だ。
腕にぽっかりと何も入っていない空間が出来てしまった。
手の平や手の甲がわの断面はまだ赤い肉の色をしているが、
もう一方の断面はすでに黄色く腐っている。

気が付くと肘まで
空洞
になっており、
肘を曲げようにも曲がらない。
傷口から空洞を見ると骨も腐って溶けているらしい。
肩は動く。
肩を回すと、
皮でつなぎとめられた手が
ぶらぶら動いた。

次第に皮が乾燥していき、
裏側も表側もガサガサに干からびる。
裂け目から空洞をのぞくと
光で向こう側が透けて見えた。
触ればパリッと破れそうなので、
僕はとても
不安
になった。
どうやら破れはしなさそうだが、
空洞が見える裂け目は少し広がっており、
やはり僕は
不安に陥る。

不安にかられた僕は
病院に行った。
医者は白衣と
額に光を反射させる丸い鏡をつけた
中年男性という
典型的なイメージの
医者であり、
首に下げている聴診器を
僕の右腕に当てた。
僕は干からびた皮がパリッと破れるのではないかと
不安
になったが
医者もそうならないように配慮しているらしく、
優しく聴診器を当ててくれた。
干からびた皮から
鼓動が聞こえるのだろうか。
「よくあることですよ、裂け目から薬を入れましょう」
医者は注射器で裂け目からどろどろした物を
注ぎ込んでくれた。
どろどろしたものは黄色では無く、
薄白く透明でグリセリンに見える。
傷口の裂け目があるんだから、
針のついた注射器なんか使わなくていいのに。
僕は注射が嫌いである。

僕の空洞になった腕には
グリセリンのようなものがつまっているが
帰り道でそれが
ぽとぽと
こぼれる。
裂け目を手で押さえて
流れ出るのを防ごうとするものの
隙間からどうしようもなくあふれる、
その上いつの間にか
裂け目がいくつも出来ていたので
僕は押さえるのをあきらめてしまった。
糸か何かで裂け目を縫ってくれればいいのに。
僕は針で縫われるのが嫌いなのを思い出した。

家につく頃には全て流れ出てしまい、
空洞はあいかわらず空洞のままだ。
僕は不思議な事に気づいたので、
手の甲や手のひらや指を触ってみた。
なぜか暖かく、
まだ血が流れている。
指を動かそうとするとちゃんと動く。
とても不思議になったので裂け目から空洞をのぞき、
よく観察した。
すると、
血管を発見した。
血管は手の側の
まだピンク色の肉につながっており、
空洞な
僕の腕の中に
ぶらりと張られている。
どうやら、血液は
ぶらりと張られた血管を伝って
指に送り込まれているようで、
まだ僕の指は動いてくれるらしい。



この辺りで目が覚める。
久しぶりに嫌な夢でした。